はじめに

大宮華紋と色想きもの。そして貴女。

ハイテク化が進めば進むほど、人々は手作りの温もりや癒しを求めるようになるのではないだろうか。
アナログからデジタルへと進み、インターネットが日常になりつつある世の中。しかし一部ではデジタルからアナログといった方向性も数年前からブームとなって来ている。そして和が見直され若い世代を中心に急速な和ブームが巻き起こってきている。
様々なメディアでも和を取り上げ、世界的にも和文化は今非常に注目されている。
和文化であるきものはもはや実用品ではなくなってはいるが、日本人にとって大切なものがまだまだ隠されているように思う。

古い日本文化の中で忘れられつつあるものの一つに家紋がある。
かつては家のシンボルマーク。世界に類を見ない素晴らしいデザインの数々。私はこの小さな世界に永い日本文化の縮図を見たように思う。
この忘れられつつある家紋を次の世代へ伝えたい。このような思いを託して彩色家紋制作を始めたのである。

私は量産・量販にいつも反発している。お客様のために気持ちを込めて一生懸命仕事をすることに喜びを感じることが忘れられていく・・・。そんな時代に淋しさを覚えた。
ごひいきのお客様が増えるに従い大宮華紋の知名度も徐々に上がり、TV・新聞・ラジオ・本などのメディアにも紹介されるようになってきた。
私の想いをお客様に伝え、またお客様のイメージを私が形にする。それが大宮華紋であり、キモノにまで発展したのが色想きもの。
「大宮華紋と色想きもの」は私の追い求める永遠のテーマ。そして伝統であるデザイン文化、家紋の可能性をもっと広げて行きたく思っている。
日本の紋章をアートとして未来に残すために。

彩色家紋作家 森本景一