口紅をつけてしまいました！
昨日、白地の着物の襟に口紅をわずかに付けてしまいました。
ほんのかすった程度でスッと刷毛でなぞったようなのが１センチ程度あるだけです。
自力で綺麗に出来る方法を教えて頂けますか？
業者に聞くと部分的染み抜きはやっていない、とどこも同じ事を言われました。丸洗いするほど着物は着てないし、シミも自分が気にしなければ目立ちません。もう扱わず放っておくほうがいいのでしょうか？
部分的染み抜きは可能です。ご家庭でも慣れれば出来ます。
口紅は基本的に油性なのでベンジンで溶けるのですが、色素の強い物は残る場合があります。 この場合はそのままにしておいてこちらに送って下さい。
白い綿の布で、衿をベンジンで濡らし、口紅の部分を毛先の平らな歯ブラシで擦り、その綿布で拭き取ります。何度か繰り返せば落ちると思います。後は衿からはみ出さないようにベンジン形がつかぬよう衿全体をふくなどしてぼかして下さい。
（ベンジンでこする事により損傷が起こる染めがある場合もあります）
決して、水と熱は与えないようにして下さい。
市場で出回っているシミ抜き剤などのほとんどが絹には対応していません。 これが原因で失敗となる事も多いのです。
当サイトの「シミ抜き講座」で 一通りの事は説明しておりますのでよくお読み下さい。
一度も着ていないのにどうして汗ジミ？
数年前に購入した着物を初めて着るために出してみたら、両胸に黄色い輪ジミがありました。
着物に詳しい知人に尋ねたら「汗ジミ」だと言われました。まだ着用していないのにこんな事ってあるのですか？
実はあります。
これは仮絵羽（仮縫い）状態での着物販売の試着時に付く汗です。汗はその時に乾いてしまって見えなくなっても、時間が経てば必ず黄変してきます。今回の場合は未着用ですので裏地には汗の痕跡は無いはずです。
これはクレーム対象になります。
シミを落としたら色がハゲた！これは不良品？
ホテルで食事中にシミが付き、素早く濡れたおしぼりで拭き取りました。
乾いてから見るとシミと一緒に染めの色も落ちていました。染めが悪いのでしょうか？
おしぼりには色はついていませんでしたが・・・。
これは「スレ」という現象です。
絹は水濡れるとふやける（膨潤）性質があり少しの摩擦でも傷が付きやすくなります。
繊維の表面が摩擦によって削れ毛羽状になり特に斜めから見ると光の乱反射により白っぽく見えるのが特徴です。補正する事で少しはましに見えますが根本的には直せません。
何が付いても触らず専門店に任せる事をお奨めします。
おしぼりに色がついていればそれは色落ちです。色かけで直りますが、やはりスレは確実に起こっています。これに関しては上記の通りです。
※スレについてはこちら
しまっていたのに変色？
久しぶりにタンスから着物を出してみたら畳んである側面などが変色して色が薄くなっていました。光に全く当てた覚えが無いのにどうしてなんでしょう？
タンスの中で発生する科学物質によるガスが原因だと思われます。
これは管理側に責任があり、やはり風通しをこまめにしなければなりません。年一回の虫干しよりも、こまめに乾燥した日にはタンスを開けるように心がけましょう。
ある程度は色かけによる補正で直せます。
カビは落とせますか？
永くしまっておいた黒留袖を出してみたらカビが出ていました。
クリーニングで綺麗になるでしょうか？
カビは初期段階（白く粉がふいた状態）なら綺麗に落とせます。乾いたタオルなどで叩けば落ちてしまいます。しかし、胞子が残るため再び出てきます。
ドライクリーニングでも一時的に見えなくなりますが上記と同様です。
やはりカビは水で処理をしないと駄目で、水で洗っても茶色く残る場合、これは色での補正もしくは染め直さないと効果は得られません。
いずれにしても当社のような専門店でご相談して下さい。
こういう事にならないよう日頃の風通しが大切です。
クリーニングしたのに汗ジミが？
今までこまめにクリーニングに出していた着物に汗と思われる黄色くなったシミが出てきました。どうしてなんでしょう？
ドライクリーニングでは汗は落ちません。
つまり水溶性のシミにはほとんど効果は無いという事です。しかし着物専門店なら「汗抜き」と指示されれば対応してくれたと思います。どこまで処理するかはお店によるかも知れません。
やっかいなのはその結果が何年か先にならないと分からない事です。
汗をよくおかきになる方はそのつど専門店で処置される事をお奨め致します。
覚えのないシミが？
しまっておいた着物を出してたら、つけた覚えのない醤油のようなシミが沢山ありました。
どうしてなんでしょう？
比較的多いご質問ですね。これは「黄変ジミ」と呼びます。
どのようなシミがついても時間と共に黄色く変化していき、もっと進むと茶色く濃い色になります。シミは変色するまでだと洗い落とせますが、このように変色が進むと漂白して補正しないと効果は得られません。
費用が高くついたり、直らない事もあります。シミがついたら早めに専門店に依頼しましょう。
汗ジミなどのように乾けば見えなくなる水溶性のシミも忘れないように！
ガード加工で汗ジミは防げますか？
汗っかきなのでガード加工をしておこうかと思います。これで安心なのでしょうか？
ガード加工の撥水効果は降りかかる多量の水であり、蒸気や湿気は防げません。
従って流れ落ちる汗は防げても、体内から出る汗や、汗ばんだ手で触ったものなどは蒸気や湿気と同じと考えて下さい。
ガード加工をしてあっても安心は禁物ですね。着用後は必ず専門店で「汗抜き」を行って下さい。