嫌な思い出
小学校2年の時、学校主催の写生大会で消防車の絵を描く事になった。会場は学校の直ぐ隣の東寺(とうじ:弘法大師信仰の寺)である。
その頃の私は消防車を描く事を得意としていたので、とても楽しみにしていた。
もちろん消防車は赤、そしてバックを自分の好みで薄紫色で仕上げた。
得意げに先生に提出すると、何とその女性担任は
「どうしてバックをこんな色に塗ったの?何故先に先生に相談しなかったの?」
と私に言い、もの凄い剣幕で迫ってきたのだ。
訳が分からず途方に暮れていると先生は
「空は空色に決まってるでしょ!」
と半ば呆れていた。
しかし当時の私は「バックが空」と意識していなかったのである。
その一件があるまでは私はその先生が好きだったのに。
個性が殺され、知らず知らずのうちに思いがけない方向に導かれる恐怖。
今でも私は画一的教育に不安を感じている。