しみ抜き講座3 「失敗のケース」

消費者様が試みてよい範囲と起こりうる可能性失敗してしまう可能性はこんなにも多い!

  • 摩擦によるスレ(または毛羽立ちやヘタリ)
  • 染料や顔料の色落ちや金彩の痛み(着物へのダメージ)
  • ベンジン等使用時の不注意で起こりえる火災や人体への害の可能性。

※ シミが落ちても生地に傷を残しては何にもなりません。ご注意下さい。

スレに注意を!

生地の水濡れや湿り状態での摩擦はスレを起こす危険性がかなり高くなります。
水を使ってシミ(水性に限る)を落とす場合、布切れを手に持って擦ったり拭ったりしては絶対に駄目です。
シミのついている方(例えば着物)に布きれを置いて、その上から強く押さえるか叩く方が効果的です。
生地に対して垂直に叩いているつもりでも角度がずれるとスレを起こしてしまう可能性があります。 (乾いた布の方へ、シミを水分と共に移動させる事が必要)
ベンジンはスレないとされていますが、安心はできません。
特に雨の日などは生地がすでに湿気を含んでいる可能性があります。
そしてベンジン用の洗剤もスレを起こしやすい物があり、空気中の水分を呼び寄せる助剤もあります。
またシンナーやアルコールは水同様スレを起こしやすいので使用しないようにして下さい。

ありがちな失敗のケース

シミがベンジンや水により中途半端に溶け、繊維の中に染まり込み、さらに新たな輪じみやスレを起こしてしまいます。
安く上げようとしたり、自分でも出来るだろうと、思ってした応急処置が、よけいに状況を悪化させる原因となる可能性があります。
その結果、通常よりも直し料金が高くついたり、最悪の場合は直らなくなるような結果の例の方が実は圧倒的に多いのが状況です。

最近は柔軟仕上げ剤に通した商品も多く、ベンジンはもちろんの事、水でもその液が生地の上で移動し、輪じみやムラが付くことが多々あります。
我々プロでもその処理が難しく、丸洗いでその加工液を全部洗い流さないと直らない場合もあります。

失敗しない一番良い方法はなるべく早く専門家へ相談された方が、こういった例を防ぐ事になり、あなたの大事なお着物を守ることになります。
その場合、付いたシミの正体を出来る限り的確に伝える事が大事です。
付いている色や形状に惑わされて決して憶測で言わないようにして下さい。

間違った情報伝達により専門家を手こずらす事もあります。
専門家にご依頼される時は出来る限り詳しい状態を伝えましょう。


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