ここでは実際にあった事を紹介致します。
ある日の事。私(景一)のお得意様から一本の電話がありました。
お得意様
「新店舗に来て下さったお客様にコーヒーを出した時、新しい絨毯にうっかりコーヒーが大量にこぼれたんです。どうしたらいいでしょう?」
新しい絨毯なのでなるべく綺麗に跡形無くコーヒーをふき取りたいのだが
全くどうしたら良いのかわからなくあわてた様子でした。
私(景一)
「こちらから駆けつけて行きたいのですがとても行けない状況なので、今から私の言う通りにして下さい。
まず、容器。例えばバケツなどにたっぷり綺麗な水と、霧吹き。それから水を吸いやすい綿の白い布きれを出来るだけたくさん用意して下さい。
そして絨毯のシミの部分に水をかけ、乾いた布きれで上から抑えるか、叩くかをして吸い取って下さい。決して、布きれを濡らして絨毯を拭かないように!」
お得意様
「あ、今、濡れ雑巾で拭きかけています・・・」
私(景一)
「それをすぐにやめてもらって下さい!どんどんシミが広がって絨毯に染み込んでいきますよ」
お得意様
「今、森本さんの言う通りの作業に入りました」
私(景一)
「とにかく白い布きれに付かなくなるまで繰り返して下さい。
それと叩くときに布きれを持って叩くのでは無く、布きれを絨毯の上に置いて、その上から叩くか体重をかけて押さえて下さい。これは摩擦を避けるためです。
布きれを持って叩くのはシミの部分に対して垂直に叩いているつもりでも夢中になっているうちに角度が少しずつ変わってきて摩擦を起こす危険性があるからです。
そしてもし少しでもシミが残っているのであれば、ここで初めて中性洗剤をかなり薄めてシミの部分に付けます。あ、霧吹きを使ってもいいです。
そして同じ作業を繰り返し、最後は洗剤が残らないように出来る限り落としきるように。
シミが落ちたら水型が残らないように霧吹きで水をかけてぼかしていって下さい。
その上に乾燥したバスタオルなどの布(水分を吸い取りやすい物が望ましい)を置いて、上から重しを置き、乾くまで待ちます。布を新しく時々変えてやれば乾燥が早くなります。
ただ、アイロンやドライヤー熱での乾燥はさせない方がいいです。」
そうアドバイスした後電話を切りました。これでわかって貰えたのか少し不安でしたが・・・。
3~4時間経った頃に再びお客様から電話がありました。
お得意様
「森本さんありがとうございます!完全にシミが跡形も無く落ちたんです!
絨毯も全く傷んでないんですよー!こんな経験は初めてです!
それから結局、洗剤も使わなくて済みました!
とにかく全員でびっくりしています。本当にありがとうございました」
私(景一)
「処置が早かったので水だけで落ちたんだと思いますよ。
これからは着物を広げる場所では絶対に飲食はしないようにして下さいね」
これは正しく行えば家庭でも出来るという水性のしみ落としの事例です。
この話を取り上げた理由は着物のしみ落としにも共通している為なのです。