女紋 -おんなもん-

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悲しき女紋

女紋とは何か?
私が本編の「分布図」でも書いたが、 「女紋とは女性が家紋を使用する為の一つの『習慣』であると言い換えが出来るのかも知れない。」であると私は思う。
注目して頂きたいのは「女性が家紋を使用する為」の下りである。
女性は元々、家紋を付ける事を許されていなかった。これはもちろん現代の感覚で言えば「男女差別」や「男尊女卑」の他にならない。
私は「女紋」という言葉に悲哀にも似た印象を受けるのである。これは家紋研究の時にも感じた事だ。

家紋というものは本来の意味で言えば、読んで字の如く、「家を象徴」または「家を表す」ものである。海外でも見受けられるエンブレム(紋章)がそれである。しかしながら日本でのこの家紋というものに関しては他国のそれとは扱いが異なっている。
他国の紋章は由緒正しき名家が使用しているのに対し、日本では名字と対になってるかの如く存在する。ここまでは格差は違えど、家を代表する紋章としては同じである。しかしここで語られるは「女紋」。何故「女性」という限定がされているのであろうか。

今でこそ「男女平等」が謳われているが、日本の歴史上ではほんの最近からの事である。女性にはずっと長い間虐げられてきたという闇の歴史が存在する。詳しくは書かないが、つい最近までの民法では女性が無能力者として扱われてきていたという現実があるのだ。
故に女性は家紋を背負う事を許される事はなかった。無論これは今で言う差別ではあるが、当時の日本では差別という意識はなく、むしろ当たり前の事であったのである。
しかし時代は流れ、女性も家紋を付ける事が出来るようにはなったが、「家」を背負う事までは許されなかった。

私は「女紋」という言葉に差別的な印象を感じた。いや、感じている。
気のせいかも知れないが、女紋が登場した頃から女性に対する差別が少しずつ穏和されて来ているような気がするのだ。
もしかすると、女紋は女性差別を意識させるきっかけとなったのかも知れない。
しかしその歴史には悲哀があった事を忘れてはならない。

管理人:ARK